これだけは知っておきたい用語1-はじめての買付も安心!? – 其の九十一/全文公開

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これだけは知っておきたい。買い付け用語

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難しい専門用語が比較的少ないと言われる雑貨・ギフト業界。まったくはじめての人であっても、商品探しや仕入商談では特に困ることはないだろう。専門用語を平易な言葉で言い換え、はじめての人にもわかりやすい説明を行う事が、販路拡大につながることを、多くのメーカー、商社などの商品企業(営業担当者)が理解しているからだ。

例えば商談時の会話に出てきた「OEMって?」と聞いても、時間をかけ「それはデザインや仕様を指定してもらって…」と丁寧に説明をしてくれるだろう。

だが、お互い限られた時間の中で効率良く多くの商談/取材をこなさなければならない見本市などの場面では、せめて今回取りあげる言葉の意味くらいは理解しておくことが、仕入側のマナーと言える。

本連載「雑貨百案(C)」は、通常ベテランを含むプロを対象にした文章を記しているが、今号はインターナショナル・ギフト・ショー東京のバイヤーズガイドに掲載されるため、はじめての訪問で仕入買付する方が読むことを想定した。店舗運営や商品の企画・製造の言葉に関してはいつか別の機会に取りあげたい。

委託仕入

:いたくしいれ 小売店が卸売業者などから商品を預かり、手数料をもらって販売する。商品の管理責任は小売店が負うが、一定の販売期間終了後、売れ残りが生じても在庫を返すできる。この場合、買取仕入と違い小売販売価格の決定権は卸売業者にある。一般に買取仕入よりも利益率は低くなる。使用例「この商品シリーズだけは特別に委託でのお取引も可能で……」

OEM

:original equipment manufacturer 相手先ブランドによる商品開発。店舗(メーカー)などが製品を他社に依頼して製造させ、自社(ブランド)商品として販売すること。「うちはOEMが専業でして…」依頼されて製造することがメイン業務で、卸売りはしていないの意味。

ギフトショー会場

オープンプライス

: open price 商品企業が希望の販売価格を提案せず、卸売価格のみを示して店舗に販売すること。小売店みずからが小売販売価格を設定する。 “下代出し”も同じ。「こちらはオープンプライスで、1,800円です」

買取仕入

:かいとりしいれ 雑貨店で主流の一般的な仕入れ方法。仕入れが完了した時点で、商品の所有権が卸売業者から小売業者に移る。買取仕入の商品の強制的な返品、交換は法律で禁止されている。一般に利益率は高い。販売不審商品の処分などのリスクあり。「もちろん買取仕入でお願いします」

上代

:じょうだい 小売価格のこと。「上代は2,000円です」 掛け率:かけりつ 上代に対しての下代の割合。例70%=7掛(なながけ)。「うちは6掛です」 希望小売価格:きぼうこうりかかく メーカー商社などの商品企業が希望する小売り価格のこと。参考上代。「この商品の希望小売価格は3,000円です」

キャッシュオンデリバリー

: cash on delivery 現金着払い、代金引換払いなど商品代金先払いのこと。入金後の納品。「お支払いはキャッシュオンデリバリーでお願いしています」

下代

:げだい 卸価格のこと。仕切り。卸単価。「下代は1,000円です」 サンプル:sample 商品見本。発売予定商品として展示されているサンプルは販売“予定”商品。自裁の販売時にはなにかしらの仕様変更がある場合も。既存品のバイヤーや消費者に向けて配布されるサンプルは試供品のこと。店頭で試すようなものは売場展示用のサンプル。「こちらは10月発売予定商品のサンプルでして…」「ただいまサンプルを差し上げています」

支払サイト

:しはらいさいと 後払いの場合の支払時期のこと。締め日から支払日までの猶予期間。「当社の支払サイトは月末締めの翌月末払いです」。例えば2月の商品代金を3月末日までに支払うこと。

返品について

不良品(商品到着時までの汚破損含)や納入間違いの場合、返品や交換は当然受け付けてもらえる。この場合は先方に落ち度があるからだ。発見次第、早々に連絡を。それ以外の理由では、事前に取り決めがない限り返品はできない。小売店の一方的な返品は、仕入れ契約の違反ということになる。不良品や納入間違い以外の理由(売れない)で商品を返品したいということは、あなたが仕入れの判断を間違ったということだ。

 

什器

:じゅうき 什器とは、可動性のある陳列棚、台のことを指す。簡単に言えば売場で使う“家具”のこと。棚、平台、カウンター、椅子など。「この商品はお店の什器に合わせて陳列してください」

消化仕入

:しょうかしいれ 売れた商品分だけを仕入れて販売したとみなす仕入れ方式。取引先の販売員が、売り場の一部を借りて持参した商品を自分で陳列、販売し、売上高が確定してから納品伝票を発行するなど。百貨店などの大型店ではよく見られるが、小規模な雑貨ショップではほとんど見られない形態だ。買取や委託の利益に比較して手数料は低くなる。売上仕入。「うちは消化は対応していません」

デッドストック

:dead stock 本来は否定的な意昧で売ることのできなかった未使用の商品のことを指す(売れ残り)。しかし、雑貨、ファッションアイテムでは、時を経ることによって当時のデザインなとが再評価されることが多く、その一部は稀少性によって価値が高くなることがある。「デッドストックを米国で見つけてきました」

取引条件

:とりひきじょうけん 仕入の際の条件。ロット、支払サイト、掛率などを総称。取引内容。「弊社の取引条件は……」

名入れ

:ないれ 既存の商品の表面に印刷なとでブランドロゴや店舗名(個人名、団体名なども)を付けること。「このトートバックは名入れも可能です」

値入

:ねいれ 値入とは、仕入原価に一定の利幅を加えて売値を決定することで、この利幅を値入高という。値入高はあくまで“予定している”販売利益のこと。「この商品の値入高は……」

バリエーション

:variation 同じ商品の色や柄、素材違いのこと。サイズを指す場合も。 「この商品の色のバリエーションは3色ありまして……」

PB

:private brand プライベートブランド。店舗のオリジナル商品(群)のこと。 「PBの製造依頼もたまわっています」

別注

:べっちゅう メーカーの商品の素材、デザインなどの仕様を一部変更して、店舗用に製作すること。「某店ではこの商品の別注が好評でして…」

ライセンス商品

:らいせんすしょうひん あるブランドやデザイナー、キャラクター管理会社の許諾を受けて、それらのデザインやロゴ、キャラクターの商品を他社が製造販売すること。「これはディズニーのライセンス商品です」

ロット

:lot 取引可能最低数量、単位のこと。ミニマムロット(minimum lot)。仕入取引するにあたっての商品の最低数。金額を指す場合もある。「この商品のロットは6個です」6個単位で卸売りするの意味。6個未満、6の倍数以外では販売してくれない。また、製造依頼の場面では製作する最低数量のことを指す。

なぜ取引を断られるのか

仕入商談がいつも成功するとは限らない。もちろん取引をしてくれない相手もいる。以下に商品企業が取引を断る理由例を挙げてみた。各企業ごとの基準で判断しているため、これらがすべてではないがよく聞く理由だ。順不同。

1.同一地域にすでに卸しているショップがある 同一地域内での販売を一本化したい。以前からの付き合いのあるショップに不義理ができない。バッティング。

2.店舗のコンセプトやテーマが自社商品に合わない 商品や自社のイメージの維持。

3.後払いの場合、企業としての支払い実績がない 商品代金未回収のおそれがある。貸し倒れの危険を回避したい。

 

富本雅人 月刊パーソナルギフト2015年10月号掲載

掲載誌面

雑貨力とはどんな本?
雑貨屋さん、雑貨ビジネス、雑貨業界の夢や希望が詰まった本。日本で唯一の雑貨コンサルが執筆。雑貨屋さんの開業と運営、仕入、販促、万引防止、危機管理、雑貨商品づくりや業界研究。正しく面白く知る、雑貨ギフト業界で食べていく、生きていくポイント。
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